奇異果 [ヒナのひるね、少年の夢]
「キウイ」はカタカナでどう綴るのか少し悩んだ。
やっぱり「キウイ」と発音している。
でも、広辞苑を引いてみると、「キウィ」なのだという。
原音には近いかもしれないが、日本語でそう呼んでいる人はあまりいないんじゃなかろうか。
ちょっと日本放送協会のアナウンサーの発音を聞いてみたいと思った。
もっとも、このごろはあの人たちも当てにならんか。
今年も庭に少しだけキウィが生った。
もうとっくに盛りを越えた木で、生っても貧弱な実だ。
うちで初めて飼った猫が、野良だった黒トラのチビ。
体も度胸も超大物で、柴犬ぐらいなら飛び掛かっていった。
雑種の和猫だが長毛種が混じっていたようで、実際よりも大きく見えた。
それでいて人なつこくて甘え上手。
だっこしてくれと、足元でかわいい声を出した。
食事の時は「おあずけ」ができたし、珍しく雪が降った日には、よろこんで駆け回っていた。
つまり、犬みたいにつきあっていたのだ。
ヒナが来た時にはびっくりした。
猫ってそうだったんだ。
圧倒的な強さを誇っていたので、チビはこの界隈のボス猫だった。
そして、子分たちと共にこのキウィの木の下でごろにゃんとマリファナ・パーティを催していたのだ。
あ、これは以前書きましたな。
チビが君臨していた頃は、葉も実も豊かだった。
猫たちがそれを齧ってはごろにゃんごろにゃんしていたのだ。
ぽつんと生ったキウィの実が、寒々しいことよ。
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