兵隊の歌 [書籍と雑誌]
『長谷川四郎詩集』が届いた。
土曜美術社の現代詩文庫。
奥付は1982年4月10日発行、定価880円。
紙の色は経年変化で黄色くなっているのだが、スリップも入ったままの綺麗な状態だ。
つまり、売れなかったのだろう。
詩集『原住民の歌』(晶文社・1973年)が再録されているが、その中に「兵隊の歌」がある。
ウディ・ガスリー自伝『ギターをとって弦をはれ』の邦題は、この詩の冒頭から採ったものだ。
(1)
ギターをとって
絃をはれ
兵隊の歌をうたおう
ハヨホイハヨホイハヨホイホイ
「弦」ではなくて、糸偏の「絃」。
15連もある、意外に長い詩だった。
『ジョニーは戦場へ行った』のような兵隊の姿が次々に歌われる。
(3)
あぶらの海に
うかんでた
ぶっくぶっくのしかばねが
ハヨホイハヨホイハヨホイホイ
(5)
兵隊は生きたに
まんまで
煉瓦の下にうずまった
ハヨホイハヨホイハヨホイホイ
(6)
五臓六腑が
とびだして
冷凍にされた兵隊は
ハヨホイハヨホイハヨホイホイ
(7)
夏はきらきら
野のはてで
うじ虫だらけでドロドロとける
ハヨホイハヨホイハヨホイホイ
大伴家持が作った歌を思い出した。
♪ 海ゆかば水漬く屍
♪ 山ゆかば草むす屍
♪ 大君の辺にこそ死なめ
♪ かへりみはせじ
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