瘋癲病院の日々 CHRONICLES #138 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
ディランは病室のウッディに、よくタバコを頼まれました。
見舞品でしょうか。
銘柄は"Raleigh"だったそうです。
このタバコは知らないのですが、ウォルター・ローリー卿に由来するのでしょうか。
パッケージがそんな感じです。
イギリスにタバコを持ち込んだ人物ですね。
ほれ、あのニッカウヰスキーのヒゲのおじさんですよ。
本当は違うらしいけど。
そしてディランは、ウッディの曲を弾き語りします。
"Rangers Command"
"Do Re Me"
"Dust Bowl Blues"
"Pretty Boy Floyd"
"Tom Joad"
この病院は実際は希望のまったく持てないような精神病院(asylum)だったと、ディランは書いています。
廊下に叫び声が響いたりしていたそうです。
ディランがウッディの曲を歌っていると、身体に合わない縞の服を着た患者たちが、列をなして歩き回っていました。
ある患者は、膝から崩れて倒れては立ち上がり、また前に倒れるという動作を繰り返していました。
自分が蜘蛛に追いかけられていると思い込み、腕と足を平手で叩きながらぐるぐる回っている者もいました。
自分が大統領だと思い込んだ者はアンクル・サムのような帽子を被っていました。
ディランはさらにいろいろと描写しているのですが、よほど恐い思いをしたようです。
ウッディは何もかも忘れてしまっているようで、男の看護士に連れられて出てきて、面会が終わるとまた連れられていってしまいました。
晩年のウッディ・ガスリーは「舞踏病」と呼ばれていた「ハンチントン病」を患っていたのです。
ディランのことはまるでわかっていなかったのではないでしょうか。
ただいまp.99です。
コメント 0