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浅川マキ『こんな風に過ぎて行くのなら』 [書籍と雑誌]

浅川マキ『こんな風に過ぎて行くのなら』を読み始める。

1971年の雑誌「構造」に掲載されたものから、2003年の書き下ろしまで、様々な文章が載っているので、あわてて一気に読まなくたっていいだろう。



しかしまあ、「構造」かあ。

これはリアルタイムで読んではいなかった。

「現代の眼」「流動」と並んで、総会屋系新左翼雑誌御三家。

掲載記事はバリバリの新左翼論文だったりするのに、経営者が総会屋さん。

だから大企業の広告が載っているのです。

誰が見たって変ですね。



御三家の中ではこの「構造」が最初になくなりました。

この雑誌の編集長だった人と以前懇意にしていたのですが、社長はとても恐かったそうです。

本当にチビッちゃったそうです。

学生時代に「現代の眼」は結構買いました。

竹中労原作かわぐちかいじ画『黒旗水滸伝』というマンガが連載されてたんで。



わ、googleしたら、『黒旗水滸伝』の単行本出てる!

わ、amazonしたら、上巻品切れ。

どうする、下巻だけ買うか?

ん、版元の皓星社で注文受けてるな。

発注してみよう。

あ、だめだ、サーバエラーで発注できない。

う~ん。






【追記】

 皓星社よりFAXが届く。

 ありゃりゃ?

 何度発注ボタンを押してもエラーが出るので、下巻だけamazon.co.jpで注文してしまったのに。

 FAXの内容は、上巻が年内に重版予定なので、先に下巻だけ発送するか、上下巻揃ってから発送するか選んでくれというものだった。

 選ぶもなにも、下巻の発注が完了してないよ。



 メールを出して、下巻を受注しているのだったらキャンセル、上巻のみ予約注文にしてくれと頼んだ。

 しかし、今時オーダー用cgiがちゃんと機能していないサイトは珍しい。

 ヒヤリとしました。






さて、浅川マキさんの本だ。

同じ石風社の隅田川乱一の本と雰囲気がよく似ている。

デザイナーさんが同じなんだろうな。

いまどき珍しく重い本です。

中身じゃなくて、単純に重量ね。

返本の処理が大変だぞ。



『こんな風に過ぎて行くのなら』こんな風に過ぎて行くのなら

浅川マキ著

石風社

2003年7月15日発行

四六上製本文211ページ

定価2000円+悪税



マキさんの声が聞こえてきそうな文章です。

いいなあ。

内容も重いわ。

死と、性と、歌と。



このカタカナ英語もいい。

「ドント・エクスプレイン」

ああ、そうだ、ビリー・ホリデイだ。

『奇妙な果実 ビリー・ホリデイ自伝』(晶文社刊)読んでないな。

買うか。

翻訳が油井正一&大橋巨泉。

二人とも声が聞こえそうなところがおかしい。



「奇妙な果実」というのはもちろんビリー・ホリデーの有名な曲でして、リンチで逆さ吊りにされた黒人のことです。

ビリー・ホリデー自身は麻薬で死んでしまいます。

Left Alone伴奏をしていたマル・ウォルドロンの代表的アルバムが『レフト・アローン』。

収められた「レフト・アローン」はビリーが歌っていた旋律をジャッキー・マクリーンの哀切なアルトサックスが奏でる名盤ですね。

ただ、この曲はビリー・ホリデー自身の録音は残っていないそうです。



マルのアルバム『レフト・アローン』では、"You don’t know what love is"もいいですね。

この曲はジョン・コルトレーンの『バラード』やエリック・ドルフィーの『ラスト・デイト』にも入っていて、いずれも名演です。



Last Date特にドルフィーの盤は彼の遺作でして、幻想的なフルートの演奏は是非是非皆さんにお聴きいただきたい。



『ラスト・デイト』のB面はよくジャズ喫茶でリクエストしました。

最後の演奏の後に、ドルフィーの言葉が入っています。

 > When you hear music, after it’s over, it’s gone in the air.

 > You can never capture it again.



マル・ウォルドロンが亡くなった時、日録(本館)に書いた覚えがある。

イリイチと同じ日に亡くなったのだった。

だらだらといくらでも書けちゃうんで、自家引用して終了。






2002年12月6日付け日録



訃報:マル・ウォルドロン 享年76 死因不明

私はコルトレーン、アイラー、ドルフィーといった「夭折した前衛」ジャズメンが好きだったのだが、この人は例外。

しっとりしたマイナーが日本人に受け、四畳半ジャズなどと呼ばれていた。

今夜のニュースステーションで「レフトアローン」が効果音として使われていたぞ。



訃報:イヴァン・イリイチ 享年76 死因不明

学校=病院=刑務所、現代社会の象徴としてイリイチが引き合いに出した機関である。

社会全体が学校化、病院化しているのである。

どうする、おい、そうだ、共生だ、プラグを抜き給え。

こんなふうに盛り上がったのは70年代末から80年代前半。

「1984年」を目前に控えていたころだ。



この二人が同じ年齢だとは気づかなかった。

二人とも死因不明。

さらには、日本式に言えば二人とも客死ということになる。



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コメント 2

のぶこば

TITLE: Re:浅川マキ『こんな風に過ぎて行くのなら』(10/10)
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淺川マキも、忘れられないですね。聞くたびに暗くなりますけどね。淺川マキでは、「夜が明けたら」が好きですね。
by のぶこば (2003-10-12 02:09) 

幻泉館 主人

TITLE: Re:Re:浅川マキ『こんな風に過ぎて行くのなら』(10/10)
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そうですね、1曲といったらそうでしょうね。
あ、私は「かもめ」が一番かな。
72年のライブが愛聴盤だったんで、「ガソリン・アレイ」や「イッツ・ノット・ザ・スポットライト」といった曲が好きです。
当初は寺山修司のイメージが強かったんですが、意外にロッド・スチュアートがはまるんですよね。
by 幻泉館 主人 (2003-10-12 02:26) 

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