佐々木昭一郎『さすらい』(1971年) [テレビ]
中学生の僕は、その放映をひどく楽しみにしていた。
遠藤賢司がテレビに出て歌うんだって!
今と違ってビデオなんてない。
見る方は一発の真剣勝負、一瞬たりとも画面から目を離さず、テレビを見続けるのだ。
それはつげ義春のマンガに出てきそうな少年が主人公の不思議なドラマだった。
ドキュメンタリーの手法を取り入れ、プロの役者が出てこない。
映画の看板描きをやめてキャバレーに勤めるようになる「ギター」は友川かずきだった。
遠藤賢司は他に人のいない野外音楽堂のステージで「カレーライス」を歌った。
栗田裕美(ひろみ)というかわいい女の子が出ていた。
外波山文明とはみだし劇場、キグレ・サーカス、ああ、寺山修司みたいだな。
さすらう主人公が会話する「基地の女」は笠井紀美子だった。
90分の密度の高い時間の後、僕は佐々木昭一郎という名前を覚えた。
これがテレビドラマだったのだからすごいなあ。
さすがに通常の番組ではなくて、芸術祭参加作品だった。
その年の大賞を受賞したドラマである。
後年NHKで佐々木さんをお見掛けした時は、感激しました。
遠くから見ても、すぐわかりました。
私は仕事中だったのでさすがにサインはもらわなかったけど、もらっておけばよかったね。
ええ、ファンでした。
今はもう定年退職なさってるはずです。
『さすらい』の後、佐々木さんは1974年に『夢の島少女』を撮る。
この作品で登場する不思議な魅力を持った少女、中尾幸世さんが、79年の『四季・ユートピアノ』に始まる、80年代の佐々木昭一郎作品世界の中心的な役割を占めることとなる。
中尾幸世が成長していく詩的映像世界が、日本を代表する映像作家として佐々木昭一郎の名を世界に知らしめるのである。
残念なことに、佐々木ワールドが完成する80年代には、私の感受性は相当縮んでしまっている。
『さすらい』を観た濃厚な時間は、もう戻ってこない。
『アンダルシアの虹』(1982年)をああいいなと思っても、音や映像が胸に痛く突き刺さってはこないのである。
これは佐々木さんの映像の問題ではなくて、私の感受性の問題。
「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」
初期佐々木作品の後、1976年に佐々木さんはつげ義春『紅い花』を映像化している。
これは完全なドラマの作り。
ただ、近年石井輝男監督が映画化したつげ作品が原作に非常に忠実に作ってあるのと比べると、かなり大胆に自分の世界に作り替えてあった。
ああ、佐々木版『紅い花』の主演は草野大悟さんだったのだ。
もう亡くなって十年ほど経つ。
享年51、若すぎる死。
さて、私は動くエンケンが観たいという不純な動機から番組を見て佐々木昭一郎わーるどに惹かれていくわけですが、71年当時は歌謡曲ではないフォーク&ロックのテレビ番組はあまりなかったと思います。
NHKが海外のフィルムを流してくれたかな。
平日毎朝やってるテレビ番組「ヤング720」では、例外的にいろいろな人が出てきました。
この番組はあんまりのんびり見てると学校に遅刻してしまうので、途中で行かなければならないのがつらかった。
吉田拓郎さんの弾き語りも観たような気がします。
あとは、音楽番組というよりドキュメンタリー。
夜中のエッチ番組「11PM」なんかでも、その日の特集でアングラ・フォークなどやる時がありました。
ただ、こういう映像はあんまり覚えてないね。
遠藤賢司がテレビに出て歌うんだって!
今と違ってビデオなんてない。
見る方は一発の真剣勝負、一瞬たりとも画面から目を離さず、テレビを見続けるのだ。
それはつげ義春のマンガに出てきそうな少年が主人公の不思議なドラマだった。
ドキュメンタリーの手法を取り入れ、プロの役者が出てこない。
映画の看板描きをやめてキャバレーに勤めるようになる「ギター」は友川かずきだった。
遠藤賢司は他に人のいない野外音楽堂のステージで「カレーライス」を歌った。
栗田裕美(ひろみ)というかわいい女の子が出ていた。
外波山文明とはみだし劇場、キグレ・サーカス、ああ、寺山修司みたいだな。
さすらう主人公が会話する「基地の女」は笠井紀美子だった。
90分の密度の高い時間の後、僕は佐々木昭一郎という名前を覚えた。
これがテレビドラマだったのだからすごいなあ。
さすがに通常の番組ではなくて、芸術祭参加作品だった。
その年の大賞を受賞したドラマである。
後年NHKで佐々木さんをお見掛けした時は、感激しました。
遠くから見ても、すぐわかりました。
私は仕事中だったのでさすがにサインはもらわなかったけど、もらっておけばよかったね。
ええ、ファンでした。
今はもう定年退職なさってるはずです。
『さすらい』の後、佐々木さんは1974年に『夢の島少女』を撮る。
この作品で登場する不思議な魅力を持った少女、中尾幸世さんが、79年の『四季・ユートピアノ』に始まる、80年代の佐々木昭一郎作品世界の中心的な役割を占めることとなる。
中尾幸世が成長していく詩的映像世界が、日本を代表する映像作家として佐々木昭一郎の名を世界に知らしめるのである。
残念なことに、佐々木ワールドが完成する80年代には、私の感受性は相当縮んでしまっている。
『さすらい』を観た濃厚な時間は、もう戻ってこない。
『アンダルシアの虹』(1982年)をああいいなと思っても、音や映像が胸に痛く突き刺さってはこないのである。
これは佐々木さんの映像の問題ではなくて、私の感受性の問題。
「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」
初期佐々木作品の後、1976年に佐々木さんはつげ義春『紅い花』を映像化している。
これは完全なドラマの作り。
ただ、近年石井輝男監督が映画化したつげ作品が原作に非常に忠実に作ってあるのと比べると、かなり大胆に自分の世界に作り替えてあった。
ああ、佐々木版『紅い花』の主演は草野大悟さんだったのだ。
もう亡くなって十年ほど経つ。
享年51、若すぎる死。
さて、私は動くエンケンが観たいという不純な動機から番組を見て佐々木昭一郎わーるどに惹かれていくわけですが、71年当時は歌謡曲ではないフォーク&ロックのテレビ番組はあまりなかったと思います。
NHKが海外のフィルムを流してくれたかな。
平日毎朝やってるテレビ番組「ヤング720」では、例外的にいろいろな人が出てきました。
この番組はあんまりのんびり見てると学校に遅刻してしまうので、途中で行かなければならないのがつらかった。
吉田拓郎さんの弾き語りも観たような気がします。
あとは、音楽番組というよりドキュメンタリー。
夜中のエッチ番組「11PM」なんかでも、その日の特集でアングラ・フォークなどやる時がありました。
ただ、こういう映像はあんまり覚えてないね。
2003-10-09 00:00
nice!(0)
コメント(12)
トラックバック(0)
TITLE: Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)(10/
SECRET: 0
PASS:
こんばんは~。
今日も懐かしの名前を発見!栗田ひろみ。
確か「西城秀樹の妹」とかいう
キャッチフレーズでデビューしませんでしたっけ?デビューシングル「太陽のくちづけ」、
持っていたような気がします。(笑)
たまたま小学校の帰りに図書館へ行こうとしたら、
某スーパーでサイン会をしていたので握手してもらいました。
ちっちゃくて細くてとっても可愛かった!
って、タイトルと関係ないところで反応してすみません。
by うるとびーず (2003-10-09 01:26)
TITLE: Re:Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)(10/
SECRET: 0
PASS:
うるとびーずさん、こんばんは♪
栗田ひろみさんは「西城秀樹の妹」という時代より、もう少し早いと思います。
大島渚監督『夏の妹』(1972年)で主演。
この映画ではわがまま娘ぶりがあまりいい感じではなかったな。
『夏の妹』は音楽が吉田拓郎。
りりィが出演していて、脱いでるシーンがあるので昔の私ドキドキ。
あんまりおもしろくないアイドル映画でした。
拓郎さんの曲を使っている映画が同じ1972年、斎藤耕一監督『旅の重さ』。
こちらの方がずっとできの良い映画でした。
♪わたしはきょうまで いきてみました~♪
だいぶ前になにかのCMで栗田ひろみさんがお母さん役で出ていて、クラクラしました。
by 幻泉館 主人 (2003-10-09 02:20)
TITLE: Re:Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)(10/
SECRET: 0
PASS:
あ、「太陽のくちづけ」はそうなんですよ、栗田ひろみさんですよね。
彼女、篠山紀信撮影で早くヌードになりすぎたと思います。
もう少し売り方があったのではないかと。
友人が大ファンでした。
私は吉祥寺で中学生時代の杉田かおるさんをよく見かけました。
明星学園に通ってたんですね。
とってもかわいかったです。
でも、なんといっても小泉今日子さん。
NHK放送センターの近くを普通に歩いてました。
ちっちゃくってかわいいのね。
いいかげんにしなさい。
ハイ、このへんでやめておきます。
by 幻泉館 主人 (2003-10-09 02:38)
TITLE: Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)(10/
SECRET: 0
PASS:
★★幻泉館 主人さん
>栗田ひろみさんは「西城秀樹の妹」という時代より、もう少し早いと思います。
そうか、西城秀樹の妹は河合奈保子でしたっけ?
>大島渚監督『夏の妹』(1972年)で主演。
>この映画ではわがまま娘ぶりがあまりいい感じではなかったな。
あ、これ、わりと最近観ました。
石橋正次とか出てましたよね?
お兄さんを探して沖縄に行く話。
素直子(すなおこ)とかって、変な名前の女の子だった。
りりぃってお母さん役でしたっけ。
石橋正次とくっついちゃいましたよね?
>でも、なんといっても小泉今日子さん。
>NHK放送センターの近くを普通に歩いてました。
>ちっちゃくってかわいいのね。
キョンキョンは可愛かったらしいですねー。
私の友人も大ファンでしたよ。
>いいかげんにしなさい。
>ハイ、このへんでやめておきます。
もっともっと聞きたい~~~。(笑)
by うるとびーず (2003-10-09 07:13)
TITLE: Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)(10/9)
SECRET: 0
PASS:
☆ こんにちは。この日記に出てくる女の子が横に張ってある写真の人と同一人物なら、たぶん、女優の栗田ひろみさんですね。彼女の名前を見ると反射的に『放課後』という映画の挿入歌だった井上陽水「夢の中で」を思い出します。
by 執事 (2003-10-09 16:55)
TITLE: Re:Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)(10/9)
SECRET: 0
PASS:
執事さん、こんにちは♪
そうですね、栗田ひろみさんです。
私は映画『放課後』使用の陽水さんの曲で、「いつのまにか少女は」が好きです。
by 幻泉館 主人 (2003-10-09 17:25)
TITLE: Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)
SECRET: 0
PASS:
僕は、故あって、69年の秋からテレビのない暮らしに突入しましたから、ここで反応できるのは「ヤング720」と「11PM」だけでした。
セブンツーオーは時間帯のせいで数回しか見た記憶はないですが、横尾忠則がでていたときには、ずいぶんかっこいい人だなあと思いました。
by 穴沢ジョージ (2003-10-10 02:41)
TITLE: Re:Re:佐々木昭一郎『さすらい』(1971年)
SECRET: 0
PASS:
穴沢ジョージさん、こんばんは♪
私も75年以降テレビのない生活だったはずなんですが、佐々木さんの作品はしっかり見てます。
どうやって見たんだろう。
そんなに遠くないので、放映の度、実家に帰っていたのかもしれません。
by 幻泉館 主人 (2003-10-10 02:56)
TITLE: あの~3
SECRET: 0
PASS:
『さすらい』『夢の島少女』『赤い花』
見ましたよ。いや~。
あの頃のドラマは面白かったです。
一番下の写真、気になります。
誰でしょう?
「クラクラ」もいったことありますよ。
ゴールデン街、外波山文明の店。
by face (2004-12-17 17:36)
TITLE: Re:あの~3(10/09)
SECRET: 0
PASS:
faceさん、こんばんは♪
一番下は笠井紀美子さんですね。
この人もケメと呼ばれることがありました。
ジャズ歌ってましたけど、映画出演なんぞもしていたような。
懐かしいですわ。
by 幻泉館 主人 (2004-12-17 19:51)
TITLE: リクエストしましょう。
SECRET: 0
PASS:
私は「さすらい」「四季・ユ-トピアノ」「夢の島少女」「川の流れはバイオリンの音」をBSの再放送されたとき録画しましたがBShiで録画したいBRDR勝っちゃうかもNHKBSシネマ・リクエストしましょう!https://www.nhk.or.jp/bscinema/request/form.html
by tomato fripp (2008-09-26 22:53)
TITLE: Re:リクエストしましょう。(10/09)
SECRET: 0
PASS:
tomato frippさん、こんばんは♪
スカイパーフェクTVでやってくれたので、しっかり録画してしまいました。
by 幻泉館 主人 (2008-09-27 00:50)