腰まで泥まみれ [音楽]
元ちとせさんの新譜を見かけて、選曲におやっと引っかかった。
一曲目が、なんと「腰まで泥まみれ」。
今は亡きピート・シーガーさんの曲だけど、どちらかというと中川五郎さんでおなじみ。
ああ、高石ともやさんや岡林信康さんのアルバムにも入ってたな。
あれが一曲目ですか。
へえー。
訳詞は五郎さんのバージョンなのかな。
あ、YouTubeにアップされてるわ!
なるほど。
意外に編成がでかいですな。
▼YouTube: 元ちとせ 『腰まで泥まみれ』MUSIC VIDEO+「平和元年」SPOT
▼YouTube: Pete Seeger: Waist Deep in the Big Muddy
▼YouTube: 中川五郎 in 沖縄「腰まで泥まみれ」Dig Music Gazette 07
▼YouTube: 高石ともやとザ・ナターシャー・セブン 腰まで泥まみれ
▼YouTube: 岡林信康 腰まで泥まみれ
▼幻泉館日録:バカは叫ぶ 進め!
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「腰まで泥まみれ」はピート・シーガーさんの反戦歌です。
70年代に中川五郎さんが訳して歌っていました。
「腰まで泥まみれ」
♪ ぼくらは 腰まで 泥まみれ
♪ だがバカは叫ぶ 進め
軍隊の演習で「進め」と叫んでいるアホだけが死ぬお話。
これは自業自得、右翼用語では自己責任ですね。
ざまみろみたいなものです。
でも残念なのは、現実では進めと叫んでいる防衛庁長官や首相は、けっして戦場では死なないということです。
戦争に駆り立てられた若者が死ぬのだし、戦地では子供や年寄りが殺されるのです。
原題は「Waist Deep in the Big Muddy」。
五郎さんはほぼ原義通りに訳していますね。
♪ It was back in nineteen forty-two
冒頭で太平洋戦争中の1942年を回想しているところが、翻訳ではカットしてあります。
この歌は1967年の作品。
第二次大戦を回想して、ベトナム反戦を訴えているわけです。
以前ピート・シーガーさんの本を読んで「小さな手(One Man’s Hand)」という歌のことを書いたことがあります。
ピート・シーガー「わたしが一番きれいだったとき」
♪ 私の手だけじゃ牢屋は壊せない
♪ 私の力だけじゃ組合は作れない
ピートさんたちが歌っていた「One Man’s Hand」は具体的に何をしたいかはっきりと主張した戦闘的な歌でした。
これが日本でヒットする時には、「みんなの手と手を合わせれば、何かできる」と、ずいぶん抽象化されてしまいました。
意地悪な言い方をすれば、小さな手も力を合わせて戦争を起こすことだってできる歌になってしまうのです。
もっとも、その小さな手を集めなければ戦争はできません。
泥沼の中で「進め!」と怒鳴る大バカの力だけでは、戦争なんてできないのです。
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▼平和元年
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