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月の光 CHRONICLES #230 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]

千本浜 2005年9月17日
 →[ I Love Sunset! 夕陽が好き!]

改行して、独り夜の台所で歌詞を書くディランに戻ります。

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From the far end of the kitchen a silver beam of moonlight pierced through the leaded panes of the window illuminating the table. The song seemed to hit the wall, and I stopped writing and swayed backwards in the chair, felt like lighting up a fine cigar and climbing into a warm bath.

台所の向かい側にある鉛製の枠の窓から銀色の月の光が射し込み、テーブルを照らしていた。歌は壁に突き当たったようだったので、僕は書くのをやめて、椅子に背を預けた。上等な葉巻に火を点けて、それから熱い風呂に入りたいと思った。
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ディランの情景描写、好きなんですよ。
他に人のいない部屋の中が月の光に照らされている様子は、なんだかよくわかります。
静かな、とても静かな、心地好い孤独です。
「狂気の(lunatic)」の語源になっているほどなので、何か常軌を逸した感情のような気もします。

ディランはずいぶん久しぶりに歌を作ったのです。
レコーディングに使えるはずです。
歌の中に自分が存在しないのが気になったようですが、それはそれでかまいません。
歌の中にいたいとも思いませんでした。

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I put the words in a drawer, couldn't play them anyway, and snapped out of a trance.

僕は引き出しに歌詞を入れた。いずれにせよ、これを演奏することはできないのだ。そして夢の中から飛び出た。
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"trance"という言葉を遣ってます。
歌詞を書いている時の「無我の境地」「恍惚」の状態です。
言葉に集中していて、ふと気づくと、テーブルが月の光に照らされていたということなんでしょう。

ドビュッシーのピアノ曲を思い出しました。
冨田勲さんがモーグのシンセサイザーでこつこつと音作りをした時から、もう三十年以上経ってしまったんですね。

そういえば、十五夜でありました。
晴れるといいですね。

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