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水牛楽団 [音楽]

[水牛楽団]休業 カセット

音楽CD(CD-DA)の規格を定めたRed Bookは1981年。
実際にCDプレイヤーが普及して、アナログレコードが市場から消えて行くのにはそれからしばらく時間がかかるのだが、私は80年代半ばにポータブルCDプレイヤーを買ったのだったかしら。
カセットテープ型のアダプタをカーステレオに差し込んで、CDをカーステレオで聴いた時期があった。

そうだ、その過渡期にはカセットテープでアルバムを買ったこともあった。
初期のレベッカや尾崎豊は、カセットで買った覚えがある。
まだJICCという名前だった「宝島」が不良在庫整理でカセットブックを放出した時には、遠藤ミチロウさんのテープを何本か、捨て値で買ったなあ。

水牛楽団のテープは、本屋さんで買ったのだ。
カセットブック『[水牛楽団] 休業』は浅田彰+坂本龍一編集。
如月小春さんも『私の「水牛楽団」体験』という文章を寄せていて、実に80年代的な代物に見える。
ただ、このテープを聴く度に、私は70年代のタイに思いをはせていたのだ。
静かで短い「インターナショナル」や「ワルシャワ労働歌」が不思議だった。

自分でデジタル化してCD-Rに焼いたりしたのだが、数年前にCD-Extraでベスト盤のようなものが出たので、購入した。

 →水牛楽団

先日ふと思い立って高橋悠治さんの本が読みたいと思ったのだが、これがなかなかないのである。
ヤフオクで白水社から出ていた『水牛楽団のできるまで』に入札したのだが、締め切り時にアクセスできなかったので、逃してしまった。
3200円で終了していた。
1981年発行、定価1400円の本である。
まあ、品切れ再版未定や絶版の本はぼちぼちと探すことにしよう。
ウェブで読める文章もかなりある。

 →高橋悠治:著作

高橋悠治 コレクション1970年代
昔の本がなかなか見つからないので、平凡社ライブラリーの『高橋悠治 コレクション1970年代』を見つけて買った。

『高橋悠治 コレクション1970年代』
平凡社ライブラリー
2004年7月10日
文庫判 本文334p
定価:本体1300円+悪税

 第一章 ことばから音楽へ
 第二章 時空の網目をくぐって
 第三章 生きるためのうた

晶文社から出ていた次の3冊の本から抜粋して編集した、よりぬき高橋悠治といった趣。

 『ことばをもって音をたちきれ』(1974年)
 『音楽のおしえ』(1976年)
 『たたかう音楽』(1978年)

小林秀雄を葬り去った文章やサティ論、芸能山城組批判、コンピューターによる音楽の可能性など、まあ密度の濃いおもししろい文章が多いこと。
でも、今回は水牛楽団のことを考えたかったので、とりあえず「第三章 生きるための歌」をまず読む。

両手を砕かれて射殺されたビクトル・ハラや、軍事クーデターの日に殴り殺され、木に吊るされ、古タイヤと一緒に燃やされたというニタヤの話。
歌のために殺された人達だ。

音楽を語る時に闘争や生活なんて余計なことは不要だと、「春一番コンサート」に来た人でさえそんなことを言ったりする。
高橋悠治さんは負けてしまったように見えるかもしれない。
でも、「9.11」の犠牲者追悼コンサートで、ニール・ヤングは放送自粛曲となっていた「イマジン」を歌った。
そのことに、どれだけ多くの人が共感できたことか。

巻末に三橋圭介さんの解説が付いていたが、ウェブでよく似た文章を見つけた。

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水牛楽団(1978〜1985)はそれまでの生活をすて、音楽をすてた。人々と対 話し、手づくりの雑誌で反体制の声をくみとり、発言しつづけた。全国をめぐり、さまざまな集会でケーナ(西沢幸彦)をふき、タイコ(八巻美恵)をたたき、ハルモニウム(福山伊都子)に風をおくり、大正琴(高橋悠治)をつま弾き、歌(福山敦夫)をうたった。

西洋音楽を操るような洗練された技術はそこにない。ないというより、あえてそういう技術を否定したところに水牛楽団はあった。不慣れな楽器にふりまわされた手と手のあいだから、楽譜には書きあらわせない音の厚みや綾がうまれる。
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 →水牛楽団について 三橋圭介

日本の音楽は高橋悠治さんが考えるような方向には変わらなかった。
意味は薄まり、快楽的に消費されるだけだ。
でも、本当に「音楽で社会を変えることはできない」のか?
ソウル・フラワー・ユニオンが歌うように、「あのブッシュやシャロンみたいなゴロツキは」「世界のあまたの歌が 首根っこを押さえる」ことができる。
きっとこの戦争をやめさせることもできると思うのだ。

カセットブック [水牛楽団]休業

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