CHRONICLES #52 ライ・ウィスキー [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
「ジョー・ヒル」の歌をどう書こうかといろいろ考えながらも、結局ディランはその歌を書きませんでした。
二行空けて、また突然話が変わるようです。
ニューヨークの冬は寒いのですね。
映画『真夜中のカウボーイ(Midnight Cowboy)』で陽光を夢見るラッツォを思い出します。
ディランも、「青い霧のかかった凍てつくような」ニューヨークの冬の夜を描きながら、「草の上に寝転がって本当の夏の匂いを感じていたのは、もうずっと昔のことみたいだった」と少し弱音を吐いています。
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早朝にマンハッタンの七番街を歩けば、車の後部座席で人が眠っているのを目にするだろう。
泊まる場所があるのだから、僕は幸運だった。
ニューヨークに暮らす人だって、寝る場所がないこともあるのだから。
僕は持っていないものがたくさんあったのだけど、確固としたアイデンティティなんてものもそんなに持ってはいなかった。
「俺らは流れ者、俺らはギャンブラー。故郷を遠く離れて。」
("I'm a rambler----I'm a gambler. I'm a long way from home.")
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ちょっとおセンチになってみせていますが、なんだか怪しいです。
引用符も付いているので、これはなにかの歌詞ですね。
google検索にそのまま放り込むと、ちゃんとヒットしました。
"Rye Whisky"という曲です。
どこかで聴いた曲だと思ったら、『春一番ライブ'75』で朝比奈逸人さんが弾き語りしている「ライ・ウィスキー」ですね。
♪ ウィスキー ウィスキー ウィスキーをくれ
♪ ウィスキーがなけりゃ 夜も明けぬ
♪ ウィスキー ウィスキー 泣きたいぞ
♪ ウィスキーがなけりゃ 死んでやる
なんだか我が心の師匠高田渡大人の歌みたいです。
そうそう、村上律さんも持ち歌にしてますが、タイトルは「ウィスキー」に変わっています。
ライ・ウィスキーって、あんまり飲みませんものね。
♪ 腹が減ったら ウィスキーさ
♪ 泳ぎたくなったら ウィスキーさ
♪ ウィスキー ウィスキー 殺しておくれ
♪ 死ねなきゃ 死ぬまで生きてやる
忘れてました。
もちろん高田渡大人も歌っているのです。
渡さんの場合、タイトルは「ウィスキーの唄」となっています。
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