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詩人の声 I, too, sing America. [書籍と雑誌]

【追記】No.5

下の「芥川賞を受賞した金原ひとみの知られざる”家庭の事情”」の感想。

父親が『蛇にピアス』を初めて読んだ時に娘に言った言葉が凄まじい。



「もっと恥ずかしいものを、親が地元に住めなくなるくらいのものを書け」



凄まじいものではあるが、記事にあるようにこれが自らの体験に基づいた表現欲求を指しているのなら、やはり日本の「純文学」はダメだと思う。

それは小説ではない。

芥川賞よりも、直木賞の方がまだマシな作家を生み出すことになる。

もっとも直木賞の方は実績がないと受賞できないようだ。

新人作家の登竜門ではないわな。



【追記】No.4

雑誌『噂の真相』休刊号を購入。

表紙には



 > 『噂の真相』は休刊すれど、

 > 『噂真』イズムは永遠に不滅なり!



と、最後のメッセージが刷り込まれている。

ま、本当は3月25日に別冊終刊号『追悼! 噂の真相』が出るのだそうな。



「原田明夫検事総長の犯罪的利権行使」や、スクープの「”イラク派兵”小泉内閣と三菱グループの”密談”」が重要記事。

だが、やはり「芥川賞を受賞した金原ひとみの知られざる”家庭の事情”」に目が行ってしまう。

このあたりが「噂の真相」を買っていた所以だよなあ。



岡留編集長が『マスコミ評論』→『噂の真相』と動いたのは70年代末のことだったと思います。

当初はそのスキャンダリズムがちょいと鼻についたのですが、貴重な雑誌でした。

このごろマジメに読んでなかったのですが、痛いなあ。



【追記】No.3

キング牧師の演説の試訳も載せておきます。

原文はこちらの方が読みやすいかな。

http://www.freemaninstitute.com/Dream.htm



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私には夢がある。

いつの日にか、ジョージアの赤土の丘の上で、かつて奴隷であった者の子たちと、かつて奴隷所有者であった者の子どもたちが、兄弟として同じ一つのテーブルに付く時が来るという夢が。

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【追記】No.2

昨日の浜なのであるが、強風の中、カラスが力なくへろへろ飛んでいた。

箱型の凧のような不思議な動き。

心の中で声援を送ってしまいました。



更新しました♪

夕陽が好き![I Love Sunset!] 千本浜 2004年3月11日



【追記】No.1

ラングストン・ヒューズはアメリカの黒人詩人です。

1902年に生まれ、コロンビア大学に学びますが、卒業はリンカン大学。

その間に、「ハーレム・ルネサンス」という芸術運動に加わり、詩の朗読会のために南部を回ったりしたそうです。

ハーレムに暮らし、1967年ニューヨークで死去。



Martin Luther King Jr.の「I Have a Dream」という有名な演説に、こんな言葉があります。



I have a dream that one day on the red hills of Georgia the sons of former slaves and the sons of former slaveowners will be able to sit down together at a table of brotherhood.



「兄弟として同じ一つのテーブルに付く」というのは、先ほど引用したヒューズさんの詩を思い出します。

その詩を訳してみましたので、ご覧くださいませ。



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僕もまたアメリカを歌う



僕は肌の黒い兄弟だ

お客があれば

台所で飯を食わされる

でも僕は笑って

ちゃんと食べて

強くなる



明日になれば

お客があっても

僕はテーブルに付く

その時は

誰にも

「台所で食え」

なんて僕に言わせない



それに

僕がどれだけきれいなのかわかるだろう

そして恥ずかしく思うだろう



僕だってアメリカなんだ

-----------------------------------






amazonからラングストン・ヒューズのCDが届く。

なにはともあれ、詩人の朗読を聞く。

いい声です。



I, too, sing America. I am the darker brother. They send me to eat in the kitchen. When company comes, But I laugh, And eat well, And grow strong. Tommorow, I'll be at the table When company comes. Nobody'll dare Say to me, "Eat in the kitchen," Then. Besides, They'll see how beautiful I am And be ashamed -- I, too, am America.



まるでアナウンサーがゆっくりと読み上げるような朗読だ。

思い入れたっぷりに感情を込めて読んでいるというふうではない。

えてしてそういうものですわね。

あ、次からは音楽的に読んでるわ。

それでも、絶叫歌人に慣れてしまった耳には、非常に抑制した朗読に聞こえます。



本当に音楽がかぶさる朗読もあります。

これは古いジャズだな。

Rhythms of the Worldでは、説明的に楽器の音や声が入ってきます。

ゴスペルやブルーズもちょこっとだけ入ってます。



易しい言葉遣いが多いので、翻訳よりもなるべく原詩を味わった方が良いと思うのだが、日本では翻訳しか出版されてないのかな。



The Voice of Langston Hughes

[FROM US] [IMPORT]

US $16.98

価格1887円+悪税

The Voice of Langston Hughes1. Negro Speaks of Rivers

2. I, Too

3. Weary Blues

4. Homesick Blues

5. Story of the Blues

6. Night and Morn

7. Breath of a Spiritual

8. Prayer

9. Prayer Meeting

10. Ma Lord

11. I'm Gonna Testify

12. Albert

13. Mother to Son

14. Dreams

15. Youth

16. Struggle

17. Rhythms of the World

18. Simple-Intro

19. Feet Live Their Own Life

20. Simple Prays a Prayer

21. As I Go



本もペーパーバックが2冊、selected poemsとcollected poemsが届いています。

このcollected poemsはお勧め。

一巻本の全詩集ということになりますね。

紙も印刷もきれいで、700ページを超えるA6判の本がこれは安いです。



The Collected Poems of Langston Hughes (Vintage Classics)

U.S. 定価: $18.00

価格:1678円+悪税(amazon.co.jp)



The Collected Poems of Langston Hughes





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コメント 16

じゃんばらや5933

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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幻さん、こんばんわ。



ラングストン・ヒューズ、いいですね。

歌詞が心地よく耳に入ってきて、体内に溶け込む感覚大好きです。



私は幻さんの影響もあり。。。最近井上ヨウスイをよく聞くようになりました。

昨日はベスト版を500円で購入し(ケースが割れていたのでなぜか2500円引きでした)・・・カレの詩と、それをとても自然に語る歌声に聞きほれていました。



やっぱり「帰れない二人」が好きみたいです。

私はいつも「帰りたい」と思ってしまうので、「月が帰っても帰りたくなくなるようなお殿様」を見つけたいです。
by じゃんばらや5933 (2004-03-12 00:41) 

SHUZUMU

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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compenyはどういう意味ですか。

仲間?
by SHUZUMU (2004-03-12 01:35) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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じゃんばらや5933さん、こんばんは♪



>昨日はベスト版を500円で購入し(ケースが割れていたのでなぜか2500円引きでした)・・・カレの詩と、それをとても自然に語る歌声に聞きほれていました。



おお、それは大ラッキーですね。

気にする人もいると思いますが、私はそういうの大好きです。

どうせふんづけてケース割ってしま……いや、そんなことはないです、ハイ。
by 幻泉館 主人 (2004-03-12 02:05) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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SHUZUMUさん、こんばんは♪



>compenyはどういう意味ですか。

>仲間?



companyは仲間だと変ですね。

一緒にいる人たち、来客だと思います。

つまり、お客さんがいるような時は、黒人は食堂ではなくて台所で食べろと追っ払われるわけです。

あとで試訳載せましょうか。
by 幻泉館 主人 (2004-03-12 02:08) 

yitiko

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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ありがとう!おこぼれで、雰囲気が味わえました!朗読の「思い入れたっぷり」というのは嫌ですね。

大阪弁で「お尻こちょばい」といいます。

吉永さゆりの原爆の歌だっけ、あれもムズムズしちゃった。中身や朗読の意義に賛同しているのに。
by yitiko (2004-03-12 09:34) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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yitikoさん、こんにちは♪



川上弘美さんの「蛇を踏む」は、昼寝をしながらNHKの朗読の時間に夢現で朗読を聞きました。

寝ぼけた頭に、女性の語りが小説の雰囲気と合っていてとても良かったです。
by 幻泉館 主人 (2004-03-12 11:52) 

chappi-chappi

TITLE: どっひゃ~ん
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うひゃひゃひゃひゃひゃ。かわいいか~!なんだかいっぱいきました!かわいいです!最高です!おいしいです!キティちゃんがわさびになっています!なんで、なんで! ああ、ありがとう!

うれしさのあまり、気絶しました。どってん。
by chappi-chappi (2004-03-12 12:20) 

幻泉館 主人

TITLE: Re: どっひゃ~ん
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chappi-chappiさん、こんにちは♪



あ、届きましたか。

カードなんぞ入れるのを忘れました。

14日のやつでございます。

御当地モノね。

だら。
by 幻泉館 主人 (2004-03-12 12:50) 

pglove

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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こんにちは

ジョージア州で思い出した

タバコロードという作品をよんだことがあります。

映画もあるときいてるんだけどまだみたことないです。



作品はあまり面白くなかったです。面白いとかそんな観点でよんじゃだめか。



1930年当時を知るにはとても興味深い作品なのだとおもいます。
by pglove (2004-03-12 12:52) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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pgloveさん、こんにちは♪



コールドウェルですね。

大恐慌下の物語、スタインベックもそうですが、悲惨な話が多いです。

で、やっぱりおもしろいから読んだりするんですが、いけないでしょうか。

「グリーンマイル」より「二十日鼠と人間」ですね。
by 幻泉館 主人 (2004-03-12 13:03) 

chappi-chappi

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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幻泉館ご主人さん、こんにちは~。



目がさめました~。



キング牧師さんのお話は「I have a dream.」というタイトルで、中学生の英語の教科書で紹介されていました。New Crownだったと思います。もう少しやさしい文になおされていますが、やはり、「One day...」と始まっています。若い人達がたくさん興味をもって読んでくれるようになるといいと思いました。



20年前にRichard Wright と言う人の「Native son」という小説を読んだとき、現実はきびしい、と思いました。「There's no bride.」という一文が今でも心に残っています。ネイティブ・アメリカンの立場や気持ちはわかってもらえない、というのをとても悲観的に書かれてありました。
by chappi-chappi (2004-03-12 14:24) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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chappi-chappiさん、ふたたびこんにちは♪

今日は雨降りです。

眠くなってきました。



>20年前にRichard Wright と言う人の「Native son」という小説を読んだとき、現実はきびしい、と思いました。「There's no bride.」という一文が今でも心に残っています。ネイティブ・アメリカンの立場や気持ちはわかってもらえない、というのをとても悲観的に書かれてありました。
by 幻泉館 主人 (2004-03-12 16:23) 

コブラクロー

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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金原氏の親の話は、何故か「おまえは虎に

なれ」というタイガーマスクの話を思い

出しました。それでは。
by コブラクロー (2004-03-12 23:55) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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コブラクローさん、こんばんは♪



>金原氏の親の話は、何故か「おまえは虎に

>なれ」というタイガーマスクの話を思い

>出しました。それでは。
by 幻泉館 主人 (2004-03-13 00:12) 

執事

TITLE: Re:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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☆ こんにちは。



>「もっと恥ずかしいものを、親が地元に住めなくなるくらいのものを書け」



☆ うーん。まだ自然主義文学の呪縛から抜け出せないのか?三田とか池澤とか今頃御大呼ばわりされる人たちはこの発言をどう思うか、知りたいような。。。村上龍については想像がつくので、いいです(苦笑いや爆笑)。ではでは。
by 執事 (2004-03-14 12:13) 

幻泉館 主人

TITLE: Re[1]:詩人の声 I, too, sing America.(03/12)
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執事さん、こんにちは♪



日本の自然主義は言葉の誤解から始まって、まだそのれが生き残っているようですね。

少なくとも「純文学」の世界では。
by 幻泉館 主人 (2004-03-15 14:59) 

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