遠野物語 #2 [書籍と雑誌]
NHK教育テレビ……とは言わないのか、今は。
NHK Eテレで「日本人は何を考えてきたのか」の再放送を見ている。
▼NHK: 大正編「一等国」日本の岐路 第7回 魂のゆくえを見つめて ~柳田国男 東北をゆく~
そうそう、今年になって公開された、青空文庫の柳田国男。
番組に子孫が登場する福二さんの話を読みなおそうと思っていたのだ。
福治さんという親類がいたので、この名前が記憶に残っていた。
青空文庫、ありがたや。
▼青空文庫:遠野物語 柳田国男
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九九
土淵村の助役北川清という人の家は字火石(ひいし)にあり。代々の山臥(やまぶし)にて祖父は正福院といい、学者にて著作多く、村のために尽したる人なり。清の弟に福二という人は海岸の田の浜へ婿(むこ)に行きたるが、先年の大海嘯(おおつなみ)に遭いて妻と子とを失い、生き残りたる二人の子とともに元(もと)の屋敷の地に小屋を掛けて一年ばかりありき。夏の初めの月夜に便所に起き出でしが、遠く離れたるところにありて行く道も浪(なみ)の打つ渚(なぎさ)なり。霧の布(し)きたる夜なりしが、その霧の中より男女二人の者の近よるを見れば、女は正(まさ)しく亡くなりしわが妻なり。思わずその跡をつけて、遥々(はるばる)と船越(ふなこし)村の方へ行く崎の洞(ほこら)あるところまで追い行き、名を呼びたるに、振り返りてにこと笑いたり。男はとみればこれも同じ里の者にて海嘯の難に死せし者なり。自分が婿に入りし以前に互いに深く心を通わせたりと聞きし男なり。今はこの人と夫婦になりてありというに、子供は可愛(かわい)くはないのかといえば、女は少しく顔の色を変えて泣きたり。死したる人と物いうとは思われずして、悲しく情なくなりたれば足元(あしもと)を見てありし間に、男女は再び足早にそこを立ち退(の)きて、小浦(おうら)へ行く道の山陰(やまかげ)を廻(めぐ)り見えずなりたり。追いかけて見たりしがふと死したる者なりしと心づき、夜明けまで道中(みちなか)に立ちて考え、朝になりて帰りたり。その後久しく煩(わずら)いたりといえり。
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テレビの深夜映画で『大鹿村騒動記』を観たばかりなので、原田芳雄、大楠道代、岸部一徳といった俳優さんたちで映像を思い浮かべてしまう。
『大鹿村騒動記』は喜劇だけれど。
福二さん、よくこの話を残したものだ。
▼幻泉館日録:遠野物語
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@umezz_news 楳図かずお情報 0:59
先ほど放送していた「れんまん」で楳図先生と日野先生が描いていた漫画がアップされているのらー!夢の合作なのらー! nhk.or.jp/program/renman/
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