遺す言葉 [反戦]
録画してあったテレビ番組を観た。
『小田実 遺す言葉』。
2007年5月2日。
憲法記念日の前日。
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私はね、やっぱり日本はもうちょっと価値のある国だと思ってるんですよ。
もっと価値のある国だと思って、見直してほしいと思ってるんです、若い人に、殊に。
日本はアカンというようなことを言うのではなくてね。
日本は、民主主義と自由をアメリカに貰っただけどね、それにひとつ非常に大事なものを付け加えたんですよ。
それが平和主義ですね。
その平和主義に基づいて、我々の産業構造も出来上がったんですね。
中心の部分には軍需産業はありませんね、この国は。
非常に大事なんですよ。
平和産業だけで来てね、これほどの繁栄を築けた見事な国は、日本しかないよ、全世界の歴史始まって以来。
繁栄のいちばん肝心なところは、中流を作ったんですよ、中流の生活基盤を。
経済基盤としての中流の生活を作った。
それを作ったんです。
延々と作ったんですよ。
延々と科学技術の基を作ってやった。
これはすごいことですよ。
しかし、その行く道を間違えたんですね。
それは何かというと、富国強兵の道でしょ。
結局侵略していって……。
侵略していって、めちゃくちゃにして、それで終わったでしょ。
それ考えると、胸が……
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途中で涙をこらえ、声を少し詰まらせる。
最後の力を振り絞って伝えようとしていることがあるのだ。
照れ隠しに微笑む。
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胸がつまってくるよね。
富国強兵の道を歩まなければ良かったのにね。
それを歩んだおかげで、日本はむちゃくちゃになって終わったでしょ。
それから我々は反省したんですよ。
反省して、違う日本を作ろうと思ったんでしょ。
それのもとになったのが、平和憲法だよね。それは平和主義でしょ。
民主主義と自由と平和主義をくっつけて、それに科学技術をくっつけて作っていったんですよね。
それが今まで来たわけ。
それが今までの中流の暮らしの拠りどことを作ったんですよね。
それを今、残念なことに破壊しようとしてるでしょ。
格差を作って、「これこそ世界の資本主義だ」と言っているでしょ。
これでは一体何をしてきたのかわからないんじゃないですか。
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2007年当時は安倍内閣。
「美しい国づくり」を掲げ、小泉内閣の構造改革を加速させようとしていた。
この年の7月に小田さんは亡くなった。
自公連立政権の「美しい国づくり」は国民から拒否されることになったが、菅直人の政権は再び小泉内閣の路線を歩み始めている。
→作家 小田実のホームページ
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