風の流れに #2 [音楽]
なんとも奇っ怪なコンサートではある。
岡林さんの弾き語りで始まるところは懐かしいフォークのコンサート。
ところが、演歌の伴奏ギターが入ってくると、なんだかよくわからなくなる。
どこまで本気で歌っているんだろう。
鼻歌のようにも聞こえるんだ。
1975年12月16日、中野サンプラザホール。
フォークからロックへ、そして演歌へ。
当時このコンサートを知っても、私は行かなかったことだろう。
岡林信康は過去の人というイメージだった。
1946年生まれの岡林信康さんは、まだ二十代の若者だったというのに。
この時、美空ひばりさんもまだ38歳だ。
山口組との関係が問題となってバッシングが起きたのは1973年。
NHKに出演することはなくなっていた。
晩年の「川の流れのように」が美空ひばりの代表曲であるかのように扱われるのはどうなんだろう。
美空ひばりさんが登場するDisc2は聞き物。
「今日はこの会場にひばりさんが見えておられるんですけど
来てはりますからこれだけゴマすったんですけど
照らしてくださいませんか、どこか、どこですか
ええ、暗いところで見る方がええような人でしょう」
「皆さん、余計なところへ出てきまして、どうもすみません
どうしても出てきたくなっちゃったの
二部からしか間に合わなくてごめんなさい」
あっははとひばりさんが屈託なく笑う。
「じゃあ、勝負しよう、『風の流れに』を勝負しよう
フォークと演歌で
いいじゃない、フォークと演歌で」
♪ つらい涙は ふかずにずっと
♪ 流し続けな 気のすむままに
二人は勝負してしまうのである。
岡林信康リサイタル 中野サンプラザ・1975
Disc 1
1. チューリップのアップリケ
2. 流れ者
3. 青い月夜の散歩道
4. 橋-実録・仁義なき寄合い
5. 春の裾
6. 俺らいちぬけた
7. かえり道
8. 夜風のブルース
9. 影と二人
10. 越後獅子の唄
11. サーカスの唄
12. わかれ雨
Disc 2
1. 今日をこえて
2. 自由への長い旅
3. まるで男のように
4. ゆがんだサングラス
5. 誰ぞこの子に愛の手を
6. 北酒場
7. 浮世節
8. 春を運ぶな雪の海
9. 雨上りの丘
10. 26ばんめの秋
11. 風の流れに(美空ひばり)
12. 風の流れに
13. 月の夜汽車
14. 村日記
15. あの娘と遠くまで
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