8.15に加藤周一を読む [書籍と雑誌]
ちくま学芸文庫『言葉と戦車を見すえて』を読み始める。
冒頭「天皇制を論ず」の強く激しい言葉に驚いた。
1946年3月、大学新聞に発表されたものだという。
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然るに、資本家は自らの利益をいさゝかでも制限し、労働者の賃金を引上げ、以上のやうな道をとる代りに、一方では未曾有の低賃金で労働者を徹底的に搾取し、一方では様々の方法を用ひて大衆に課税し、人民大衆の生活の苦しみを考へずに、赤字公債を無制限に発行し、軍備を拡張して「関税障壁」を破る機会を狙つた。正に戦争は何時か起らねばならなかつたし、事実あの馬鹿げた戦争が起こつたのである。東条がゐたから戦争が起こつたのではない、東条がゐたから一九四一年の一二月に戦争が起こつたと云ふに過ぎない。
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ここでの「関税障壁」とはたとえば日米間の関税障壁を指すのではなくて、植民地を欲するという話である。
これが十五年戦争に至る天皇制の分析とは驚きだ。
資本主義は仮面を付け替えただけで、今もまったく変わらないように見える。
日本国憲法の公布はこの文章の半年以上後の、1946年11月3日。
それは日本共和国憲法とはならず、天皇制は生き残った。
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私は結論する、天皇制はやめなければならない、しかも出来るだけ速やかに、と。
私は封建主義の暗澹たる黄昏に人民と理性と平和との来るべき朝に向かつて叫ぶ、武器よ、天皇制よ、人民の一切の敵よ、さらば! と。
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日本国憲法の改正論議はあってもよいが、それは前文の精神をさらに推し進めるものであるべきだ。
日本共和国。
核廃絶宣言。
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