新宿の夜明け [マンガ]
永島慎二さんの『フーテン』は、5種類の単行本が出版されたそうだ。
「ガロ」を出していた青林堂から2種類(1972年)。
二重函入り手刷り木版画付き豪華上製本。
その普及版で上下二巻の上製本。
私が持っているのは、もちろん普及版の方。
第一次漫画文庫本ブームの講談社漫画文庫(1976年)。
私はこの時に松本零士さんの『男おいどん』を買った。
それから筑摩書房ちくま文庫版(1988年)。
昭和の終わりだ。
そして昨年まんだらけから出た新編集版。
今までの『フーテン』に収録されていない話が入っている。
上の画像は、このまんだらけ版の表4ページに使われた、新宿の夜明けだ。
→まんだらけ出版:フーテン
まんだらけ版には、『フーテン』当時永島さんの内弟子をしていた三人、村岡栄一さん、向後つぐおさん、三橋乙揶(シバ)さんの「若者たち(黄色い涙)」鼎談が別冊で付いていて、とてもおもしろい。
そう、この『フーテン』の巻頭には、「亡きハングラとその仲間たちに……」という献辞がある。
この「ハングラ」は「作者・永島が実際にフーテン生活をおくっていた60年代に親交のあった伝説的なフーテンのことである。彼がいつもかけていたサングラスが半分欠けていたことからそのニックネームがついたと言われている」そうだが、電脳風月堂に顔写真が掲載されている。
→Masara Tea(『フウゲツ』の人々/『風月堂』芳名録)
→PHOTOGRAPH LIBRALY
私は小学生の時に「COM」を愛読して新宿に憧れた。
実際に新宿の夜明けを体験するのは、それから十年経っていた。
映画を見たり、酒を飲んだりして迎えた朝だ。
そんなに回数は多くない。
この新宿の朝を、『フーテン』と同時代に経験した若者が吾妻ひでおさんであり、吾妻さんが描いた新宿の夜明けが、下の絵。
『地を這う魚 ひでおの青春日記』の第2話「仲間たち」の最後のページを飾る一コマだ。
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