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日本一の代用教員 [書籍と雑誌]

そして最後には、再び帰り来つて此林中で代用教員をやる予定である。予は願くは日本一の代用教員となつて死にたいと思ふ。

                  石川啄木「林中書」

林中書

「林中書」は1906年12月、石川啄木が渋民尋常高等小学校に代用教員として勤務しながら書いた評論だ。
啄木はまだ弱冠二十歳、この頃長女が生まれている。
実際は田舎の生活に辟易し、東京の文壇に憧れて逃げ出したくてたまらないのに、それでも教育には情熱を燃やしていたそうだ。

代用教員といっても、若者にはピンと来ないだろう。

広辞苑第六版
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だいよう‐きょういん【代用教員】‥ケウヰン
旧制小学校で、免許状を持たないで勤務した教員。無資格教員。
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旧制中学を出たぐらいの若者、つまり今の高校卒業程度の若者が、小学校の先生をしていたわけだ。

うちの親父様も伊豆の山中で代用教員をしていた時期がある。
寺に下宿して、小学校に通う。
寺の住職も教員。
まだ青年だったうちの親父様は、小学校では住職の息子たちを教える。
といっても、どうも子供たちと一緒に沢蟹を捕ったりして遊んでいたふしがある。

うちの親父様が代用教員をしていたのはほんの短い期間だったが、住職の息子たちはうちの親父様が死ぬまで、先生先生と呼んでよく遊びに来てくれた。
兄の方は高校の教員になって、教育委員会に入ったり、校長になったりした。
大分県の教員採用試験に関わる汚職事件の報道で、そんなことを思い出した。

あの事件で不思議なのは、校長が400万円もの金を出していることだ。
「常識」としては、教育界には権力者の採用枠というものがあって、金銭はあまり動かないのではないか。
そして、大分県だけなのか。

 →河北新報ニュース:受験生9000人調査 不正検証 山形県教員採用

もちろん、採用枠といったような裁量権があるとすれば、それだけで違法だ。
採用試験に強いということを売り物にしている大学もあるようで、そこでも採用枠というようなことがまことしやかに語られたりする。

教育問題といえばすぐに日教組が悪いといった論調があるが、まず文部省、文部科学省に責任があるのではないか。
教員採用試験は、いつから既得権益になったのか。
「不正」にかかわった者の数はかなり多いはずなのに、まったく声が聞こえてこないのはなぜなのか。


9条を殺すな!

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