一緒に歩こよ吉祥寺の町をね CHRONICLES #409 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
パンケイクのアパートは、マコッシュ書店(McCosh's bookstore)の上にありました。
この本屋さんは検索しても見つかりませんでしたが、折衷学派の古書や、18世紀以降の政治的文献や哲学的文献などを扱っていたそうです。
専門古書店ですな。
古いビクトリア調様式の建物で、パンケイクの部屋はインテリやビートが集まるサロンのようになっていました。
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I went there with Pankake and saw it was true that he had all the incredible records, ones you never saw and wouldn't know where to get.
パンケイクと一緒にそこへ行くと、彼が信じられないほどのレコードを持っていること、どこへ行けば手に入るのかもわからないようなレコードを持っているというのが本当だということがわかった。
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レコードの枚数は、ジャズ喫茶の文化に触れた日本人にとっては驚くべきほどの数ではなかったかもしれません。
でも、その内容はおそろしく濃かったようです。
ディランはパンケイクの持っているレコードに圧倒されます。
パンケイクはまず最初に"Jack Takes the Floor"というレコードを取り出して、聴かせてくれます。
ロンドンのトピック・レコードから出ていたレコード。
つまり、輸入盤です。
日本でもCDで復刻されていたのですが、今は品切れのようです。
amazon.co.jpの「マーケットプレイス」に出品されていますが、\18,015-の値が付いています。
がちょ~ん。
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There were probably only about ten of these discs in the whole U.S.A., or maybe Pankake had the only one in the country. I didn't know. If Pankake hadn't played it for me most likely I would have never heard it.
たぶんアメリカ合州国全体でも、この盤は十枚ぐらいしかなかっただろう。あるいは、この国ではパンケイクしか持っていなかったのかもしれない。僕にはわからなかった。もしもパンケイクがかけてくれなかったら、僕はこのレコードを聴くことはなかっただろう。
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ディランは自分が地獄に突き落とされたかのように感じました。
ウディ・ガスリーの曲ではない曲を歌っているのに、まるでガスリーが歌っているようでした。
自分がやりたかったことを既にやっている人物がいたのです。
このレコードの1曲目は"San Francisco Bay Blues"です。
いろんな人が歌っていますね。
私がおなじみなのは、PP&Mと武蔵野タンポポ団。
そうそう、エリック・クラプトンも歌ってました。
タンポポ団は若林純夫さんの詞で歌ってました。
♪ おいらを残して
♪ あの娘は行っちゃった
♪ 富士山のふもとまで
富士山の麓ってどこなんだろうと、いつも思います。
いずれにせよ、うちの近所です。
でも、この歌は吉祥寺の歌なんです。
♪ でも戻っておくれ
♪ 機嫌なおして
♪ そして一緒に歩こよ
♪ 吉祥寺の町をね
元々ジャグバンドの音が合う、楽しい曲です。
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