神が味方 CHRONICLES #255 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
この時ラノワはネヴィル・ブラザーズのレコーディングをしていました。
午後の間ずっと話をしていたディランはラノワに誘われて、制作中のレコードを聴きに出かけます。
行き先は臨時のスタジオとして使っている、ラノワの自宅です。
ネヴィル・ブラザーズの公式サイトのトップには、カタリーナによる被害のことが書かれていました。
募金のバナーもあります。
あれ?
今はトップページしかないのかな。
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"In light of the recent tragedy along the Gulf Coast and our home town of New Orleans, The Neville Brothers' thoughts and prayers go out to the hundreds and thousands of people who have been affected, and to all those who are aiding in this massive relief effort. Peace and Love."
- Aaron, Art, Charles and Cyril
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この時ディランが聴かせてもらったレコードは、"Yellow Moon"でした。
→Yellow Moon - The Neville Brothers
レコードはほとんど完成していたようです。
ネヴィル・ブラザーズのメンバーの一人が椅子に腰掛けたまま眠っている横で聴いたのだそうです。
このアルバムには、 ディランの曲が2曲入っていました。
→bobdylan.com: Ballad of Hollis Brown
→bobdylan.com: With God on Our Side
どちらも"The Times They Are A-Changin'"(1964年)に入っていた曲ですね。
ディランもこれには驚いています。
"Ballad of Hollis Brown"は貧しい農民が一家心中をする歌です。
ホリス・ブラウンと妻と5人の子供。
最後の1ドルで7発の弾丸を買って、ショットガンを撃ちます。
♪ There's seven breezes a-blowin'
♪ All around the cabin door
♪ There's seven breezes a-blowin'
♪ All around the cabin door
♪ Seven shots ring out
♪ Like the ocean's pounding roar
♪ 七つの風が吹いている
♪ 小屋のドアのあたり
♪ 七つの風が吹いている
♪ 小屋のドアのあたり
♪ 七発の弾丸がひびき
♪ 海がくだけるうなり
(片桐ユズル訳)
"With God on Our Side"はアメリカの戦争史を歌っています。
中西部生まれの青年が学んだ信条は「おれの祖国は神が味方」です。
♪ Oh the history books tell it
♪ They tell it so well
♪ The cavalries charged
♪ The Indians fell
♪ The cavalries charged
♪ The Indians died
♪ Oh the country was young
♪ With God on its side.
♪ 歴史はおしえ
♪ かいてある
♪ 白人はテッポーうって
♪ 死ぬのはインディアン
♪ 白人はテッポーうって
♪ 死ぬのはインディアン
♪ むかしのはなし
♪ 神が味方
(中山容訳)
どちらも、なんともやりきれない歌詞です。
最近書いた靖国神社やプロレタリア文学のことが頭をぐるぐる回ります。
なぜネヴィル・ブラザーズはこの2曲を採り上げてカヴァーしたのでしょうか。
この"Yellow Moon"というアルバムを知らなかったのですが、他にも私の好きな曲が入っているので、買ってもいいなあと思います。
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