肉と血 CHRONICLES #211 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
ディランは「せめて二十歳若かったら」と、らしからぬ言葉を吐く前に、音楽ジャーナリストに対する不信を述べています。
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Most music journalists had become nothing more than a public relation staff anyway.
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音楽ジャーナリストのほとんどは宣伝マンにすぎないものになってしまっているので、新しくやりなおそうというディランは、観客の口コミに頼らざるを得ないのです。
とにかく春まで待たなければなりません。
学生時代同じサークルにいた人物のことを思い出しました。
前にも書いたかもしれません。
深夜番組で、数十秒の映画宣伝枠を賭けて何か必死にやっていました。
「表現者」であったはずの彼は外国映画配給会社の宣伝マンでした。
映画産業に関わることができて幸せだったのかしら。
自分の映画を作るはずじゃなかったのかい。
二行空けて話が変わります。
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Returning form the emergency room with my arm entombed in plaster I fell into a chair -- something heavy had come against me. It was like a black leopard had torn into my tattered flesh.
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そうそう、ディランは腕に怪我をしていたのでした。
また豹が出てきましたね。
最も身近な猛獣が豹だということでしょうか。
"entomb"は"tomb(墓)"の派生語ですね。
"tomb"は[tu:m]と読みます。
"comb"は[koum](櫛)。
"bomb"は[bam](爆弾)。
英米語の綴りと発音の関係はまったくめちゃくちゃで困ります。
"en-"を頭に付けて動詞化すると、「墓に入れる」。
ここでは「閉じ込める」ぐらいの感じで使っているのでしょう。
ギプスをはめられては、確かに使い物になりません。
おまけにひどく痛むのです。
"tatter"は「ずたずたに引き裂く」。
"flesh"は「肉」です。
"fresh"(新鮮な)とは違いますよ。
そういえば、有名なSFマンガ"Flash Gordon"のタイトルをもじった、"Flesh Fordon"という映画がありましたっけ。
1980年に"Flash Gordon"が映画化される前のパロディ版。
実にばかばかしくもお下品な映画で、結構人気があったように思います。
一説では"Flash Gordon"より面白いということになっております。
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