ジュネの『バルコン』 CHRONICLES #117 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
人は世間でうまくやろうと思ったら、無骨な個人主義者にならないといけません。
そして、少しばかり調整して順応するのです。
無骨な個人主義者が瞬きをする間に、体制順応者となるのです。
レンとディランは、そんなことを馬鹿げたことだと嘲笑していました。
そのころビレッジでは、ジャン・ジュネの戯曲「バルコン(The Balcony)」が上演されていました。
混沌が世界(the universe)を支配する巨大な売春宿(a mammoth cathouse)。
人間が放り出された意味のない宇宙(a meaningless cosmos)。
世界がそんなものとして描かれていました。
そして、ディランはこの劇に、南北戦争の時代から読み取ったのと同じもの、百年前の新聞で読んだものを見ました。
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The songs I'd write would be like that, too. They wouldn't conform to modern ideas.
僕がかく歌も、こういうものになるのだ。近代的な考え方に従うことのないものに。
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ジャン・ジュネの戯曲に共感して、こんな歌を書こうと思ったというのは、意外です。
でも、グリニッジ・ビレッジの雰囲気にはぴったりですね。
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