CHRONICLES #102 ジェシー・ジェイムズ [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
事件が起きたすぐ後に、それを素材にして物語を作るというのは、日本でも近松門左衛門が浄瑠璃でやっていたことです。
ディランはここで「ジェシー・ジェイムズ」を例として挙げています。
オフィシャルアルバムには入っていませんが、きっと何度も繰り返して歌ったのでしょう。
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ジェシー・ジェイムズのバラッドを書いたとされているのはビリー・ガシェイド(Billy Gashade)という男なのだが、ジェシーが金持ちから奪って貧乏人に配り、そして「汚い小さな卑怯者」に撃たれたのだと、人に信じ込ませている。
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「Gashade」の読み方がわからないので、CD版『クロニクルズ』ショーン・ペンの朗読で確認しました。
「sha」のところを強く読んでいて、「Ga」は二重母音にはなっていないようです。
6枚組CDの2枚目、16の「Segment」に分かれているうちの11番目に該当箇所が入っていました。
歌の中で、ジェシーは銀行から金を強奪して貧困者(the destitute)に分け与え、最後には友人に裏切られることになっています。
実際は血に飢えた殺し屋(a bloodthirsty killer)であり、けっして歌に描かれたようなロビンフッドではありませんでした。
ガシェイドが英雄に仕立て上げたのです。
これは南部の「怨」とも呼ぶべきものが、ジェシーに反映されたのでしょう。
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Topical songs weren't protest songs. The term "protest singer" didn't exist any more than the term "singer-songwriter."
トピカルソングはプロテストソングではなかった。「シンガーソングライター」という言葉が存在しなかったのと同様に、「プロテストシンガー」という言葉は存在しなかった。
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お、懐かしいですね。
「鯨の公式」って習った覚えがありますわな。
A whale is no more a fish than a horse is.
別に公式でもなんでもありゃしませんわな。
「no more … than ~」というのは、「no +[比較級]+ than ~」の形です。
「~と同じように、[反対語]」という定義通り、言葉そのままの意味しかありません。
「no = not … any」ですから、「no more … than ~」は「not … any more than ~」に書き換えることができます。
この方がわかりやすいですね。
もうすぐp.83といったあたりです。
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