無常といふ事 [書籍と雑誌]
3.11からしばらくの間、時間が止まってしまった。
正気を取り戻せず、日常を見失う。
今も、それは続いているのかもしれない。
あの日、何をやろうとしていたのだろう。
一つ思い出した。
本を読もうとしていた。
いや、少し読み進めていた。
ご破算で、最初から読みなおし。
小林秀雄の恵み (新潮文庫)
そうそう、滅法おもしろかったのだ。
いつか読みたいなと思っていた『本居宣長』を、原文を引用してはエッセンスを伝えてくれる。
小林秀雄『本居宣長』がメインなのだが、なんといっても『無常といふ事』諸編への言及が白眉か。
高校生の頃に読まされて、おもしろいけれどわけのわからなかった『無常といふ事』。
ことに「当麻」などよく覚えているのだが、やっぱりわけがわからない。
それがすっとわかった気がした。
あくまでも橋本治さんの読み方なのだが、少しのことにも、先達はあらまほしき事なり、ですな。
続けて小林秀雄『本居宣長』へ行くのか、橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』に行くのか。
いずれにしても楽しみだ。
そうそう、この新潮文庫版の『小林秀雄の恵み』と『三島由紀夫とはなにものだったのか』のカバーデザインは気に入っている。
それぞれ新潮文庫の小林秀雄、三島由紀夫の著書の、懐かしいデザインがあしらってある。
コメント 0