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日本文学史序説ノート #2 [書籍と雑誌]


日本語の特徴を考える際参考にすべきなのは、狂信的な日本語賛美者ではないだろう。
加藤周一さんのような碩学に力を借りなくてはならない。

メモ その2

ちくま学芸文庫版 p.16
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 日本語と中国語とは、系統を異にする言語で、その音体系も、語彙も、文法(語順、助辞、用語の語尾変化など)も、全くちがう。それにも拘わらず、大陸文化との接触がおこったとき、日本語には表記の手段がなかったから、すでに高度に発達していた中国の文字が日本語の表記に用いられるようになった(中国の文字による日本語表記の現存する最古の例は、五世紀にさかのぼる)。
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ちくま学芸文庫版 p.17
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 日本語の表記に漢字を用いた日本人は、また中国の詩文を、日本風に読む方法も工夫した。返点によって語順を変え、送仮名によって日本語に固有な助辞や語尾変化をつけ加えたのである(訓読の漢詩、漢文)。この独特の中国文翻訳法に慣れた日本人は、みずから中国語の詩文を作るようになった。
 少なくとも七世紀以後一九世紀まで、日本文学の言語には二つがあった。日本語の文学と中国語の詩文である。
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ちくま学芸文庫版 p.18
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またおそらくそのことと関連して、文芸復興以後、ラテン語の文学は次第に近代欧州語の文学のなかに吸収されていったが、日本では文学の二ヵ国併用が明治時代までつづいたということである。
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ちくま学芸文庫版 p.19
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近代の日本は、漢字の組合せによる新造語で、ほとんどすべての西洋語を訳し了せたという点で、西洋語をそのまま採り入れることを余儀なくされた他の多くの非西洋文化と、著しい対照をなしている。そのことは、おそらく決定的に、この国のいわゆる「近代化」に役立った。しかし他方では、新造語の氾濫によって、日本語の伝統的な味わいを損い、そのために文学、殊に詩作に、複雑で困難な問題を提出することになったのである。
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