優しい人

やっぱり殺されていた。

やっぱりというのは変だが、いつも生き急いでいるような感じで、長生きはしそうにないとみんなに言われていた。
内ゲバなんて犬死にだろう。
それも70年代や80年代ではなくて、90年代末の内内ゲバ。

ばかやろう。

「同志虐殺10カ年弾劾」
こんな空疎な言葉で、それも十年も経ってからその死を知ることになるとは思わなかった。

鉄パイプで頭を割られたのか、出刃包丁で肋骨の間を刺されたのか、住居ごと焼かれたのか、それはわからない。

ばかやろう。
どうして殺したんだ。

掲示板にはこんなコメントも付いていた。

＞……が亡くなってもう十年になるんだ。
＞優しい人だった。

そのコメントのところだけ、人間がいるようだった。

タグ：新左翼 内ゲバ ローザ・ルクセンブルク