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帰って来たヨッパライ [映画]


帰って来たヨッパライ


まとめて買った大島渚監督作品の一つ。
松竹時代なので、日本のヌーヴェル・ヴァーグという惹句が付いている。
経営陣に嫌われた「わけのわからない映画」なんだろう。
ブラックコメディである。

ザ・フォーク・クルセダーズは短い活動期間に、よくこんな映画出演までしたものだ。
日本海の町へ遊びに来た三人の学生(大ノッポ・中ノッポ・チビ)が韓国からの密航者と間違われて、逃げる、逃げる。

三人は連行されてふらふら歩きながら、「イムジン河」を歌う。
タイトルは『帰って来たヨッパライ』だが、この映画のメインテーマは「イムジン河」なのだ。
ベトナム戦争、そしてベトナムで戦っていた韓国軍。

ジョン・シルバーのような朝鮮人の悪党役渡辺文雄さん、本当の密航者である韓国軍人役の佐藤慶さん、大島映画常連の怪演が楽しい。

小松川事件を元にして作られた『絞死刑』の主役Rを演じた青年がちらりと出てくる。
『絞死刑』で保安課長を演じた足立正生さんは、警察官の役。
大島監督もニコニコとちらり出てくる。

 →小松川女高生殺人事件

銃殺される密航者を見て、のんきな学生たちがすり替わっていた相手の名前を
叫ぶ。

「イ・チョンイルは俺だ!」
「キム・ファは俺だ!」

イ・チョンイルは、実際に国境を越えた脱走兵、金東希さんを念頭に作られた人物像だという。

 →【本】鈴木道彦『越境の時 1960年代と在日』(集英社新書)

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 なお、この本に記されている金東希のことについて記さないわけにはいかない。ヴェトナム戦争に韓国軍が参戦したことは周知のことであろう。その際韓国人金東希が、ヴェトナム戦争への参加を拒んで日本に亡命してきた。平和憲法下の日本に対する希望からであった。だが日本政府はそれを認めなかった。ただ独裁的な朴政権に帰すことはしなかった。北朝鮮に移送したのである。

 小田実が、その後金日成と会見したときに、金は知らない、といい、さらに「調査したがそんな人はいない」という回答であったという。
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9条を殺すな!

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帰って来たヨッパライ

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