不浄理の唄 [音楽]
中年というのは、身を飾る生き物であるらしい。
自分が中年になって初めて知った。
白髪を染めたり、鬘を被ったり、おとーさんたちは意外にオシャレなのだ。
これで若者たちの頭髪に文句を垂れたりするのだから、実に身勝手なものだ。
きっと彼らの若さがうらやましくてたまらないのだろう。
♪ 若い頃のままであれと
♪ 少女のように少年のように
♪ 夢とうつつを並べ替えて
♪ えやみを覆い頬紅を塗る
「幸せそうな人たち」犬塚康博
吉田拓郎さんが色付き眼鏡を掛けるようになったのは、自分の顔に老いを感じたからだと、以前言っていた。
癌の手術で、それは考え方が変わったかもしれない。
三十歳になる時、四十歳になる時、あまり気にはならなかったのだが、五十年と言われると、区切りかなあと思う。
織田信長さんがいけない。
どうしても敦盛を思い出す。
野坂昭如さんの復刻CDが届いた。
『分裂唄草紙』と『辻説法』は以前中古レコードで安く買ったので、おなじみのアルバム。
『不浄理の唄』を丸ごと聴くのは初めてだ。
1973年9月27日日比谷公会堂「野坂昭如ワイセツリサイタル」のライブ盤。
野坂さんは1930年10月10日生まれなので、もうすぐ43歳という時のコンサートだ。
このサングラスは、拓郎さんのサングラスと意味合いが違うだろう。
拓郎さんとは逆に、むしろ中年を演じるのに役立っていたように思う。
なぜ「ワイセツリサイタル」だったのかと言えば、その前年1973年に雑誌『面白半分』掲載の「四畳半襖の下張」で刑法175条「猥褻文書の販売」違反に問われ、起訴されていたからだ。
コンサートには、当時「フォークリポート」裁判を続けていた中川五郎さんも登場し、挨拶をしている。
このコンサートの翌年1974年7月、野坂昭如さんは第10回参院選に東京地方区から無所属で出馬し、落選することになる。
- アーティスト: 野坂昭如, 美輪明宏, 清水みのる, 利根一郎, GEORGES MOUSTAKI, MARGUERITTE ANGELE MONNOT, 能吉利人, 櫻井順
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: CD
- アーティスト: 野坂昭如, 能吉利人, 櫻井順, 神吉拓郎, 樋口康雄, 吉岡治, 内藤孝敏, 高中正義, 泉谷しげる, 三保敬太郎
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: CD
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