錆びた爆弾の破片 CHRONICLES #427 [ボブ・ディラン『クロニクルズ』]
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Van Ronk's voice was like rusted shrapnel and he could get a lot of subtle ramifications out of it--delicate, gentle, rough, explosive, sometimes all within the same song.
ヴァン・ロンクの声は錆びた榴散弾のようで、それを少しずつ変化させて様々な声を作り出すことができた。やわらかい声、穏やかな声、荒々しい声、爆発するような声。時には同じ歌の中でも使い分けた。
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"shrapnel"は「爆弾の破片」でも良いのですが、辞書に載っていた「榴散弾」という言葉を遣ってみました。
漢字のおかげ想像できるのですが、正確には何なのかわかっていません。
こんなものでした。
それにしても、やっぱりよくわからない比喩です。
ウディ・ガスリーの時にも出てきましたが、いろいろな声を操ることのできる歌手を、ディランは尊敬しているようです。
実際、ディランもいろいろな声で歌っていましたね。
私がこんなことを言うのも変ですが、ディランはとても歌の上手な人なんだと思います。
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He could conjure up anything--expressions of terror, expressions of despair. He also was an expert guitar player. All that, and he had a sardonic humorous side, too. I felt different towards Van Ronk than anyone else on the scene because it was him who brought me into the fold and I was happy to be playing alongside him night after night at the Gaslight.
彼は魔法で何でも作り出すことができた。恐怖の表現も、絶望の表現も。また、ギターの名手でもあった。そのうえ、茶化すようなユーモラスな側面もあった。僕はそのころの他の誰に対するのとも違う思いを、ヴァン・ロンクに感じていた。その仲間に入れてくれて、毎晩「ガス灯」で一緒に演奏させてくれているのがとても嬉しかったから。
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「ガス灯」は本物の客がいる、本物のステージでした。
そこでは、本物の歌が歌われているのです。
仲間入りができて、本当に嬉しかったのでしょう。
ヴァン・ロンクのアパートにはいつでも泊めてもらえたり、ジャズを演奏している店にあちこち連れていってもらったり、ヴァン・ロンクには本当に世話になっていたそうです。
当時連れていってもらったジャズ・クラブの名前としては、こんなものが挙がっています。
Trudy Heller's, the Vanguard, the Village Gate, the Blue Note
→The Village Vanguard Web Site
ただいまp.262です。
Dave Van Ronk: The Folkways Years, 1959-1961
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